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例えばピストンの場合、320mm試験エンジンやプロトタイプエンジンでは、ノジュラ鋳鉄一体型の場合と鋼製クラウン+ノジュラ鋳鉄製スカート組立型を比較し、ノジュラ鋳鉄一体型の方が軽くなるため、一体型を採用した。
鋼製クラウン+チタン製スカートの組立型ピストンにした場合、更に軽量化できるものと考えられる。
また、コストの問題があるが、連接棒もチタン合金などにより、軽量化の可能性がある。

 

3)耐久性の向上
今回は出力の向上(従来の約2倍)と軽量・コンパクト化(重量で従来の約1/3)という相反する性能を追求している。そのため、今回の開発研究は、出力率の向上に主眼を置いて行った。
この過程において、FEM解析や要素試験などにより、各部の耐久性には十分な検討を行っているが、実船で運転される時間に比べれば運転時間が短い。
このため、プロトタイプエンジンの実用化においては、十分な耐久試験が必要と考えられる。

 

4)燃料消費率の改善
320mm試験エンジンのエンジン試験における燃料消費率は、約157g/PS/hであった。
内航船の運航コストには燃料費の占める割合が大きい。燃料消費率の向上は、本プロトタイプを搭載した内航船の競争力を高める上で有効と考えられるため、更なる低減が望まれる。

 

5)低NOx化の推進
本研究を実施した320mm試験エンジンにおいては、ミラーサイクルの適用により、NOxは環境庁規制値950ppmの約1/2である約500ppmに抑えられた。
ミラーサイクルによるNOx低減について、更に技術的追求を行い、その有効性を確認し、他のエンジンについてもミラーサイクルを適用する。
環境問題が注目される昨今、NOxを低減できるミラーサイクルは、注目すべき技術である。

 

 

 

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